辰砂(しんしゃ)釉

透明な基礎釉に少量(1−2%)の銅分を入れ、還元焼成をすると血の赤色をした辰砂釉ができます。釉薬の原料としては、黒色をした酸化第二銅と炭酸銅が使われますが、還元炎で焼くことによって赤色をした酸化第一銅となります。銅分としては酸化銅よりも炭酸銅を加えることが多く、酸化銅10gは炭酸銅16gに相当します。そして発色補助材として酸化錫を2−3%加えます。基礎釉としてはソーダを多く含んだ長石を使い、バリウムやストロンチウムの含むものが良い発色をするとされています。
辰砂釉といっても牛血紅(ぎゅうけつこう)、火焔青(かえんせい)、桃花片(とうかへん)の3種類があり、牛血紅が血のように赤いもの、その赤に青紫の炎のような模様の掛かったものを火焔青、ピンクまたは斑点のある鈍い赤色を桃花片または桃花紅(とうかこう)といいます。
また、辰砂のように釉薬全体が赤色になるのとは別に釉裏紅(ゆうりこう)といって絵や文字のみが赤色に染まっている技法があります。これは、銅の入った絵の具または釉を下絵として筆などで書き、その上に透明釉を掛けて、やはり還元炎で焼きます。

均窯(きんよう)釉または鈞窯釉

辰砂が透明な釉をベースにしたのに対し、乳濁釉にしたのが均窯釉です。乳濁の白と微量に入った鉄分に還元がかかって青味をだし、銅の赤みと混ざって薄紫のように見えます。月の光を思わせることから、月白釉(げっぱくゆう)ともいいます。

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